昨シーズンは開幕３連敗でスタートしたものの最終的には７位。目先の結果に囚われずスタイルの構築を進めてきた愛媛ＦＣが今シーズンはＪ３の首位を走っている。開幕戦でいわてグルージャ盛岡に大敗を喫して先行きを危ぶまれたが、第２節からは９試合負けなし。その後も６勝２分２敗のハイペースで少しずつ２位以下との差を拡げてきた。

ただ、今節は少し様子が異なるかもしれない。７得点のエース松田力がここ２試合ベンチにも入っていない状態で、かつ今節は大黒柱のベテラン森脇良太が出場停止。前節は松本山雅ＦＣと１－１で引き分け、やや減速傾向とも考えられる。いたずらに怖れすぎず、いつものように準備をして臨みたい。

愛媛のフォーメーションは安定の４－２－３－１。松田がいない前節の１トップは2021シーズン後半、ＦＣ岐阜に在籍していた深堀隼平だった。今シーズンは８試合347分間に出場して４得点と一定の得点力を示していて個の力もあるように映るが、あの速さや技術は、愛媛のパスをつないでいく攻撃にリンクし、チームとして機能することによってより良いものとなるはず。岐阜としては深堀と他の選手との関係を寸断するようなディフェンスで、自陣ゴール前にボールを入れさせないようにしたいところだ。

岐阜は前節Ｙ.Ｓ.Ｃ.Ｃ.横浜に敗れて５戦未勝利に。そのうち２試合が敗戦で、１勝分の３ポイントしか増えていないことになる。連敗を阻まなければならないのはもちろん、Ｊ２昇格の可能性を残すためにも、今後は自分たちよりも上位の相手との直接対決に勝って順位を上げていくことが必要だ。今シーズンは背後を衝く攻撃を徹底してきたが、最近の対戦相手は５バックでその背後のスペースを消す対策を講じてきている。相手ゴール前でのポジションのとり方、選手同士の距離、人数のかけ方など、具体的に攻撃面の改善を図り、６試合ぶりの勝利を収めて『HYPER CHANT』を唄いたい。

（text by後藤勝）