今シーズンも残すところあと５試合。上位陣との対戦が一通り終わり、当然５連勝を狙っていくべき状況だが、しかしそう甘くはないのがＪ３。今節対戦するヴァンラーレ八戸は12位の中位とはいえ岐阜より勝点も順位もひとつ上の存在。しかも前回の対戦で今シーズンの初黒星を喫した相手だ。

八戸を率いるのは川崎フロンターレや柏レイソル、大分トリニータなど多くのＪクラブで指揮を執った老練な石﨑信弘監督。守備的な闘いが得意であり、実際、Ｊ３第４節では引いて構えて守りを固めた八戸から岐阜は１点も奪えず敗れてしまった。失点数こそ40を数えてFC大阪や奈良クラブ、岐阜に比べると少ないとは言えないが、得点数41とのバランスはとれていて、数字以上に手堅い印象を受ける。

しかもここ４試合は２勝２分と好調だ。そしてそのふたつの引き分けはいずれも相手に先制されてから追いついてのもので、東北勢らしい粘り強さを見せている。２勝の内訳も２位の鹿児島、監督交代後は一時期負けなしの状態が続いていた福島から３ポイントを奪ったもので、現在のパフォーマンスで言えば上位にひけをとらない状態。油断出来る相手ではない。

しかし粘り強さでは岐阜も負けていない。第27節ＳＣ相模原戦、第31節ＦＣ大阪戦、第33節カターレ富山戦と、いずれもアウェイゲームで相手に先制されながら追いつき、引き分けに持ち込んでいる。容易には負けなくなってきた結果が八戸の10分、岐阜の12分にあらわれているのだとすれば、まさに今節は根比べの一戦になるのかもしれない。

柏木陽介が現役引退を発表し、上野優作監督が50歳の誕生日を迎えた11月1日を経て最初の試合。この節目にホーム長良川で勝ち、花道の入口を作りたい。

（text by後藤勝）