３週間に渡る中断期間のあと再開したＪ３リーグ。その初戦は８月17日におこなわれたＪ３第24節ヴァンラーレ八戸とのアウェイゲームだったが、結果は１－４の大敗。ここで勝って弾みをつけたいという試合を落としたＦＣ岐阜としては、まずは内容はさておいても勝利を得たいところ。ホームでの勝ち星から５カ月以上遠ざかっているということもあり、なんとしても長良川のスタンドに歓喜をもたらしたい一戦となる。

対戦相手は、かつて岐阜に在籍したゴールキーパーの岡本享也がゴールマウスを守るＹ．Ｓ．Ｃ．Ｃ．横浜だ。岐阜時代に出場機会がなかった岡本は、今年３月31日のＪ３第７節福島ユナイテッドＦＣ戦でＪリーグデビュー。コンディションの問題でその後の２試合を欠場したが、第10節からあとのリーグ戦はすべての試合で出場を果たしている。いまやＹＳ横浜の守護神となった岡本が、高い壁として岐阜の前に立ちはだかる。しかしかつての友である彼からゴールを奪わなければ勝利はない。

八戸戦では結果が出なかったが、酷暑のもとでも負荷をかけ、高い強度でスピードとパワーを追求するトレーニングの狙いは変わらない。レベルが向上し、厳しい競り合いが生じるＪ３を戦い抜くには強度の高さが必要であり、そのための取り組みから目を逸らすことはできない。Ｊ１、Ｊ２を経験し、今夏に加入した西堂久俊も、このハイインテンシティを求める練習の姿勢に共感、自分たちの地力を向上させるものとして歓迎している。

問題はその成果を再開初戦から１週間遅れであっても、公式戦のピッチ上で表現できるかどうか。ボールを保持するスタイルを貫いているのも、パスを回すことが目的ではなく、前を向いてゴールをめざすため。天野賢一ヘッドコーチは攻撃陣に対し、リスクの低いパス回しに逃げるのではなく、前を向いてプレーするよう求めていて、志向は明確だ。

そしてもちろん、応援してくれる人々のためにも結果を出さなければいけないということは、はっきりと念頭にある。現在の岐阜が主体的にボールを動かすスタイルに取り組んでいるのも、あくまでも勝つための手段としてそれが最善だと認識しているからにほかならない。ゴールに向かう意識を強めて得点を重ね、今節こそは『ＨＹＰＥＲ ＣＨＡＮＴ』を歌いたい。

（Text by 後藤勝）