前節、J3第36節カターレ富山戦は、直接フリーキックからの2得点で逆転に成功しながらも、最後のワンプレーで失点してまさかの引き分け。ショックは少なくなかったが、今週、選手たちは気持ちを入れ替え、週末の第37節大宮アルディージャ戦に向けて全力で準備を進めている。チームの雰囲気はよく、程よい緊張感を楽しんでいるかのようにすら思える。

順位表に目を転じると、4位の松本山雅FCと5位のFC大阪が勝点54。6位の福島ユナイテッドFCが勝点53であるのに対し、11位の岐阜は勝点49。やや離されてはいるがJ2昇格プレーオフ圏内に入る可能性はまだ残っている。そしてその可能性を最終節に残すためにも、土曜日のホーム最終戦は勝利が必須だ。

対戦相手となる首位の大宮は既に今シーズンの優勝を果たし、J2昇格を決めている。しかしだからと言って、気を緩めてくれるとは期待しないほうがいいだろう。選手を大事にする指揮官の長澤徹監督が公式戦の一試合を無駄にするとは考えられず、成長の機会と捉え、真摯に向かってくるはずだ。

それは岐阜にとっても望むところだ。引き分けでもいいと引いて守りを固められるよりも、何かにトライする気持ちで向かってこられたほうが、岐阜が攻め込む機会を得やすい。それに、今の岐阜には、どの相手にもおもしろい試合をして勝てるという自信があり、強い相手を恐れることがない。選手たちも現チャンピオンの大宮と闘うことを、むしろ楽しみにしている。前から相手に圧力をかけて連動していく全員守備が好調で、コンビネーションを使った攻撃の熟練度も上がっている。フットボールの中身に関しては、誇れるところしかない。

思えば春先にはリーグ戦とルヴァンカップで、それぞれ大宮に敗れている。今節も敗れて全敗という事態をなんとしても避けようと、意地でも勝利を狙ってくるはずだ。泣いても笑ってもこれが今年、最後のホームゲーム。長良川のスタンドを集まったみんなで緑に染め、クラブ全体の力で王者撃破を成し遂げたい。

（Text by 後藤勝）