川崎フロンターレで選手、コーチとして活躍した寺田周平監督が率いて２年目となる２０２５シーズンの福島ユナイテッドＦＣには、かつてＦＣ岐阜でプレーした選手が複数在籍している。そしてその３人、ゴールキーパーの上田智輝、センターバックの藤谷匠、フォワードの樋口寛規が揃って先発出場した前節栃木シティ戦は２－２の引き分け。２位につける強敵から勝点１を奪う結果を残している。

福島の辞書に、おそらく「消極的」という文字は存在しない。常に積極的にプレーし、徹底して攻撃を貫く。そのせいかノーガードの撃ち合いに映る試合が多く、岐阜が今シーズンの一巡目に対戦した第４節では、岐阜が３点、福島が４点という点の獲り合いになった。ここまでの23試合で通算の数字は得点数が37、失点数が49。得失点差はマイナスだが、失点を覚悟してでもゴールを奪いに行く姿勢が脅威となって彼らを中位以上に留めているとも言え、おそらくこの姿勢が変わることはないだろう。

０－５に終わった第13節鹿児島ユナイテッドＦＣ戦の失点はすべて退場者が出たあとのものだったが、７失点を喫した第17節のＦＣ大阪戦に関しては退場者はなく、11対11の戦いで残した結果だった。そのように、時に大敗を招いたとしても、怯まずに攻める姿勢が彼らを上位に伍して闘えるチームにしているからには、今節の長良川でもタイムアップの笛が鳴るまで岐阜ゴールに向けたアクションをとり続けるはずだ。

この夏に加入してきたＧＫ中川真とＭＦ芦部晃生が前節ベンチ入りを果たし、福島はシーズン後半戦に向けた態勢を整えつつあるが、迎え撃つ岐阜も夏加入選手の戦力化が進んでいる。前節カマタマーレ讃岐戦では夏の新戦力のうち川本梨誉と山谷侑士が先発、加藤慎太郎がベンチに入った。既存のメンバーでは箱崎達也が4本、西谷亮が3本のシュートを放って存在感を発揮し、石丸清隆監督の色が徐々にあらわれるようになってきている。

18位の讃岐と引き分け、降格圏の19位から脱出できなかったことは痛手だった。しかし前方向のアクションを心がけ、果敢にタテパスを試み、シャープなカウンターを仕掛けて多くのチャンスをつくったことは自信になる。今節の福島のように主体的にボールを動かして攻めてくる相手に対しては、この夏に鋭さを増したカウンターは有効に働くだろう。直近２回の対戦で２回とも３－４で敗れている福島に土をつけるべく、装いも新たに長良川へと帰ってきた石丸岐阜の逆襲が始まる。

（Text by 後藤勝）