今節Ｊ３第28節、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で対戦するのは北信越の雄、ＡＣ長野パルセイロ。大木武監督指揮のロアッソ熊本でヘッドコーチを務めてきた藤本主税監督がその系譜を次ぐ攻撃的なスタイルを実践して上位を狙うはずだったが、ここ６試合は２分４敗と苦しみ、順位は下降線を辿っている。この下位に入ってきた長野との直接対決に勝利を収めれば、岐阜は残留争いの上で優位に立つことができる。きわめて重要な一戦となる。

長野のフォーメーションは一貫して３バック。開幕直後は熊本の影響を受けていそうな３－３－１－３だったが、最近は３－４－２－１に移行していて、おそらく今節も同様の布陣で臨んでくるのではないか。以前、岐阜に所属していた浮田健誠が出場するとすればこの３－４－２－１の１トップ。しかし最近はベンチスタートが多くなっている。３連敗のあと２分１敗と、やや結果が持ち直してきているここ３試合のメンバーを踏襲するなら、浮田はサブに回り、進昂平が１トップを務めるのかもしれない。

気に留めておきたいのは、直近の６試合未勝利期間中の長野の得点数だ。最初の３連敗の時は３試合とも無得点だったが、その後の２分１敗の期間は毎試合１得点。失点をなくせば勝てるということでもあり、侮っていい相手ではない。前述のフォワード進も第26節ＳＣ相模原戦でゴールを決めているが、第25節ギラヴァンツ北九州戦はイム ジフン、前節第27節ガイナーレ鳥取戦は長谷川雄志と、ボランチの選手がゴールを決めている。チーム全体で得点を奪いに来ているのだとしたら、前線の選手にだけ気をつけていればいいというわけではない。前節に長野が挙げた得点は左からのロングスローを弾かれたところ、その落ち際をボックスの左角付近に立っていた長谷川がダイレクトのボレーシュートで叩き込んだものだった。岐阜としては、どこからフィニッシャーが狙っているかわからないということを念頭に入れて警戒に当たりたいところだ。

一方、迎え撃つ我らが岐阜は３連勝で勢いに乗っている。前節は５得点を挙げたことのインパクトが大きいが、３試合連続での無失点というところも見逃せない。常にゴールを向き、前を選択する攻撃が実っての複数得点であったことは確かだが、多くのチャンスをつくっても１得点、２得点に留まる可能性も考えると、現在の高い守備意識を維持して無失点に抑えることも考えたい。たくさんのゴールを観たいことは確かだが、何より必要であるのは勝利。そして残留を争う上で何がなんでも欲しい勝点３を奪うにはサポーターの力も欠かせない。長良川に馳せ参じた皆の想いを結集し、４連勝を達成したい。

（Text by 後藤勝）