ＦＣ岐阜が今節、Ｊ３第30節で岐阜メモリアルセンター長良川競技場に迎える対戦相手は18位のザスパ群馬だ。シーズンの折り返しにあたる第19節終了時点での順位は14位と中位グループの一角を占めていたが、その後の10試合は１勝３分６敗と苦しい成績。直近では第24節から第28節まで５連敗を喫して順位を大きく落とし、残留争いの渦中に引きずり込まれてしまった。

ただ、大失速したとはいえ、現時点で絶不調かどうかはわからない。ホームの正田醤油スタジアム群馬で臨んだ前節ＳＣ相模原戦は先制点を許しながらも、後半45分に今夏期限付き移籍でま加入した山口一真のゴールで１－１の同点に追いつくという劇的な展開で引き分けとし、貴重な勝点１を獲得。Ｖ字回復に向け気勢を上げている状態かもしれない。

６月の特例期間以降に加入した選手４人はいずれも先発メンバーに食い込んでいないのが現状だが、この山口が突破口となり、戦力化していくかもしれない。いずれにしろ18位転落、そして第25節カマタマーレ讃岐戦と第26節ＦＣ琉球戦で２試合連続得点を挙げた髙澤優也の負傷離脱によってチーム全体が危機感を高めていることは間違いなく、ある意味では降格の心配がない順位のクラブよりも怖い相手であると言える。岐阜が前節に対戦したアスルクラロ沼津も最下位でありながら新たに仕込んだ戦術で手強い相手となっていた。窮地に陥ったところからのリバウンドメンタリティに負けないだけの備えが岐阜には必要だろう。

その点で岐阜の選手たちに求められるのはチャレンジャー精神を失わないこと。５連勝で15ポイントを積み上げＪ３残留に近づいてはいるものの、まだそれが確定したというわけではない。サッカーの中身にしてもようやく目標とするものが試合で出てくるようになった段階で、これからまだまだ成長していく余地がある。相手を下に見て、受ける構えになっている場合ではない。矢印を自分たちに向けていく必要がある。

前節の沼津戦では、用意したプランが嵌まらなかった場合に、ベンチワークを待たずピッチ内で修正する力への課題が浮き彫りになった。ハーフタイムの修正でなんとか２得点を挙げたが、前半は無得点。沼津にはチャンスが多く、もし相手に高い決定力が備わっていたら、前半のうちにリードを許し、敗れていた可能性もある。５連勝したからといって弱みや課題がなくなったというわけではないということを肝に銘じ、群馬にも全力で立ち向かっていかなければ足をすくわれてしまう。今節も覇気あるプレーで３ポイントを勝ち取りたい。

（Text by 後藤勝）