Ｊ３第19節栃木ＳＣ戦から第28節テゲバジャーロ宮崎戦まで10戦無敗、第27節と第28節時点では一時、栃木シティを抜いてＪ２自動昇格圏の２位にいた鹿児島ユナイテッドＦＣだが、直近４試合は１勝１分２敗でペースダウン。特に第29節と第30節で１位ヴァンラーレ八戸、そして２位栃木シティに連敗したことが響き、２位以内での自動昇格は難しくなってきている。

とはいえ、いまだにＦＣ大阪と並ぶ勝点58で３位。プレーオフ進出も含め、昇格候補であることには違いはなく、彼らを今節第33節でホーム・岐阜メモリアルセンター長良川競技場に迎えるＦＣ岐阜にとって脅威であることは確かだ。10得点でチーム内トップスコアラーの河村慶人はここ６試合ゴールがないものの、前節はガイナーレ鳥取に３－１のスコアで大勝。そのうちの1点は２０２２シーズンから２０２３シーズンまで岐阜に在籍していたンドカ チャールスによるものだ。かつて“チャー”と呼ばれ岐阜県民に親しまれたストライカーには、前回対戦の６月７日に恩返し弾を叩き込まれたばかり。層の厚い選手層でリーグトップの60得点を叩き出す攻撃力には最大限の警戒が必要だ。

しかし相手が強いからと言って守ってばかりでは勝てるわけがない。ましてや後方に引いて守りきれるような相手でもなく、岐阜としては相手の攻撃を封じるためにも、可能な時間帯では前からプレッシャーをかけ、攻守に積極的な姿勢を示して鹿児島に対抗していきたいところだ。前節は真正面からツエーゲン金沢に撃ち合いを挑み、結果として大敗する格好になったが、これは結果論。ましてＪ２で通用するだけの実力を身につけるならば、Ｊ３の上位と内容で伍していくだけのチームにならなければいけないはず。この鹿児島戦を含め、このあとの終盤戦は自分たちの成長を促すためにも、腕試しではないが、いつものスタイルで挑んでいく必要がある。

そもそも、石丸清隆監督の思想そのものが、常にゴールへ向かう魅力的なフットボールをしようというもの。激突を避けるのでもなく、その場しのぎの対策にばかり頼るのでもなく、自分たちの力で相手を凌駕する姿を示すことこそが石丸岐阜の基本線である以上、３位の鹿児島に対して腰の引けた闘いをすることはありえない。２試合ぶりの『ＨＹＰＥＲ ＣＨＡＮＴ』を唄うべく、連勝ストップからの再起を図る岐阜の男たちを最高の応援で支えたい。

（Text by 後藤勝）